いのちをいただく

By: Watanabe

スーパーに陳列されている肉が、どのようにして作られるか、みなさんもよくご存知のことと思います。

 
わたしたちは、たくさんの動物から、いのちをいただいて生きています。
 

しかし世の中が飽食となった昨今、その「いのちをいただく」行為に対して、わたしたち人間は無頓着になりすぎてはいないでしょうか。きれいに処理された肉に見慣れすぎて、その肉についさっきまで感情があったことさえ忘れてしまっているのではないでしょうか。もちろん、そんなことをいちいち気にしていたら、そのうち何も食べられなくなってしまいます。
 

しかし、食べ物を残したり、腐らせたりして、無駄にしてしまうことが、いったいどういうことを意味するのか。人として、それくらいはちゃんと分かっておかなければなりません。
陰で誰にも知られることなく死んでいく「いのち」の存在を。
 

そして、どうやってわたしたちが生かされているのかを、大人は子供たちに、きちんと伝えていく必要があります。



 

動物のいのちをいただくということ

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絵本「いのちをいただく」 / 西日本新聞社
本書は「命と食」をテーマに講演を行う熊本県の食肉加工センターに勤務する坂本義喜さんの体験談を基にした絵本です。坂本さんは「牛を殺す」という具体的な事例を交えながら、「動物の命を私たちはいただき、生かされている」ことの意味を問い続けます。その講演録を、福岡県行橋市の助産師、内田美智子さんが物語り風にまとめ、佐賀県三瀬村の画家、諸江和美さんが絵をつけました。

著者 内田美智子 諸江和美
監修 佐藤剛史
 

西日本新聞社

『いのちをいただく』西日本新聞社)より

食肉加工センターに勤めている「坂本さん」の話です。
坂本さんの職場では、毎日毎日たくさんの牛が殺され、
その肉が市場に卸されています。
牛を殺すとき、牛と目が合います。

そのたびに坂本さんは、「いつかこの仕事をやめよう」と思います。

ある日の夕方、牛を荷台に乗せた一台のトラックがやってきました。

「明日の牛か…」と坂本さんは思いました。

しかし、いつまで経っても荷台から牛が降りてきません。
不思議に思って覗いてみると、10歳くらいの女の子が、

牛のお腹をさすりながら何か話し掛けています。

その声が聞こえてきました。
「みいちゃん、ごめんねぇ。みいちゃん、ごめんねぇ……」
坂本さんは思いました。

(見なきゃよかった)

 

女の子のおじいちゃんが坂本さんに頭を下げました。

「みいちゃんはこの子と一緒に育てました。
だけん、ずっとうちに置いとくつもりでした。
ばってん、みいちゃんば売らんと、お正月が来んとです。
明日はよろしくお願いします…」
(もうできん。もうこの仕事はやめよう)

と思った坂本さん、明日の仕事を休むことにしました。

家に帰ってから、そのことを小学生の息子のしのぶ君に話しました。

しのぶ君はじっと聞いていました。
一緒にお風呂に入ったとき、しのぶ君は父親に言いました。

「やっぱりお父さんがしてやってよ。心の無か人がしたら牛が苦しむけん。」

しかし、坂本さんは休むと決めていました。
翌日、学校に行く前に、しのぶ君はもう一度言いました。

「お父さん、今日は行かなんよ!(行かないといけないよ)」

坂本さんの心は揺れました。

そしてしぶしぶ仕事場へと車を走らせました。

牛舎に入りました。

坂本さんを見ると、他の牛と同じように

みいちゃんも角を下げて威嚇するポーズをとりました。
「みいちゃん、ごめんよう。
みいちゃんが肉にならんとみんなが困るけん。
ごめんよう・・・。」

と言うと、みいちゃんは坂本さんに首をこすり付けてきました。
殺すとき、動いて急所をはずすと牛は苦しみます。

坂本さんが、

「じっとしとけよ、じっとしとけよ・・・」

と言うと、みいちゃんは動かなくなりました。
次の瞬間、みいちゃんの目から大きな涙がこぼれ落ちました。

牛の涙を坂本さんは初めて見ました。

 

大切なのは、いのちに感謝すること

「いただきます」「ごちそうさま」というのは、いのちに対する感謝の言葉でもあります。
 
食べずば生きてゆけぬ、というならば、せめて感謝することが彼らへの最低限の礼儀ではないでしょうか。
 

この記事は、「肉を食べない」という極論に走ることをお勧めするものではありません。感情的に、突然ベジタリアンになることはオススメできません。普段お肉を食べていて健康な人が、急にお肉をやめると、必要な栄養素が摂取できなくなり、健康弊害を引き起こすことがあるからです。
 

ベジタリアンやヴィーガンとして健康に生きていくためには、ちゃんとした移行期間を設けたり、栄養について勉強をしたり、菜食が自分に合うのかどうかの判断や、菜食の心構えを学ぶことなども必要になります。
 

また、中には体質的にどうしてもお肉からしか必要な栄養素を摂取できないという人もいるでしょう。それも一つの個性です。
 

アメリカでもベジタリアンの危険性が問われています。肉を食べることは、認知症やアルツハイマーの予防になることが分かっています。肉が不足すると気力が衰えてきたり、うつ病やノイローゼなどの心の病になることもあります。わたしたち人間は、他のいのちを貰わなければ、健康を維持することさえ難しい生物です。それが現実なのです。
 

ベジタリアンになりたいと思う人が、実際にベジタリアンとして健康に生きていくことは可能です。私も必要以上にお肉を消費することには疑問を感じています。誰もが健康的に菜食を楽しむことができるのであれば、その方がいいに越したことはありません。
 

ただ、何事にも「やり方」があるということです。
 

お肉を食べると認知症予防に効果あり

だから、いただいたいのちを無駄にせず、感謝して残さず食べることが大切なのです。

 

屠殺(とさつ)の仕事

屠殺の現場は知られる機会が少なく、偏見を持つ人も中にはいます。しかし、この決して楽ではない屠殺という仕事に、わたしたちに代わって引き受けてくださっている方々の仕事に、偏見など持っていいものでしょうか。私はむしろ感謝するべきだと思います。

動物を気絶させてから解体するという日本の処理方法はまだマシな方で、動物の痛みや苦しみよりも人間の効率を優先した処理方法や、あえて残酷に殺すのがいいとされている国や地域も、世界にはまだまだ存在するのが現状です。



 

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絵描き。完全菜食になりつつある。健康オタ。1年の半分を山形で過ごし、家庭菜園向けの自然栽培を実践中。日々の暮らしの中で、心地よく感じるモノ・コトをシェアします。

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