有機肥料を簡単に説明します。
有機肥料とは
有機物(有機資材)を原料とした肥料。有機質肥料ともいう。
有機肥料と有機物を混同されがちであるので注意が必要。
植物性肥料
- 油粕
- 糠
- 刈敷
- 草木灰
但し、草木灰は、植物由来のため有機肥料とする人が多いが、灰であるため無機物が中心である。
動物性肥料
PHOTO:家庭菜園での有機無農薬栽培の方法
- 魚粕
- 干鰯
- 堆肥
- 馬糞
- 牛糞
- 鶏糞
- 人糞尿(下肥)
- 骨粉
- 肉骨粉
- 厩肥
有機物により土壌内の微生物に栄養分が与えられるため、無機肥料よりも土壌に良いと考える人もいる。
ただし農業は肥料だけでおこなうものでないため、一概に有機肥料が無機肥料より優れているとはいえない。
従来、植物は基本的に無機物を吸収し栄養としていると考えられてきた。ほとんどの栄養分は無機物として吸収されるが、一部の有機物はエンドサイトーシスにより、養分として取り込まれることもある。タンパク質の場合、細胞内にタンパク質を取り込んでからタンパク質分解酵素で消化して利用する。アミノ酸では直接利用されるものがある。このため、有機物の肥料としての有効性も研究されてきた。2002年には、独立行政法人の農業環境技術研究所が植物が根から無機質ではない有機質のタンパク質様窒素を吸収することを証明している。
有機肥料のメリット
- 化学肥料より美味しくて、より栄養価の高い物が作りやすい
- 緩効的な肥料養分の供給
- 土壌微生物を増やす
→ 根圏環境・養分吸収などの改善、地力養分の増大、土壌中物質循環を改善 - 土壌物理性の改善
→ 根量、根活性などの改善
など
有機肥料のデメリット
- 完熟していない有機肥料では悪臭、ガス発生、害虫発生等の問題が発生することがある。
- 有機物は時間をかけて分解され、その後植物に吸収されるため即効性が低い。(そのかわり土壌に長期間蓄積される。)
など
有機肥料は無機肥料よりも優れているとは限らない
「有機肥料は安全かつ良いもの」、「化学肥料は悪いもの」、といった考え方は明らかに間違いだと思われます。化学肥料で作った農産物は身体に悪い。有機農産物は身体に良い、といった考えがあるようですが、これも明らかに間違いです。
事実、養液栽培という肥料養分を含む水溶液(当然無機化学肥料のみ)だけを与えられて育てられた野菜には品質的に非常に優れた物がたくさん生産されています。植物工場などと言われる人工的に制御された施設においても無農薬で、一般的な土耕栽培されたものと同等以上の野菜が生産され、流通されるようになってきました。
「有機肥料を使うと、化学肥料より美味しくて、より栄養価の高い物が作りやすい」、というのが正解だと考えています。
清和肥料工業株式会社