ワイルドクラフト(WildCraft)のワイルドは、“野生”という意味ですが、
農法としてのワイルドクラフトは、完全なる野生と少し違います。
自然に生育しているのが野生、人が生育を手伝うものがワイルドクラフト
野生とは、野山などで自然に生育しているものです。
人の手が全く入っていないものをいいます。
野生の植物は病気や自然災害に強く、丈夫でたくましく生きています。
ワイルドクラフトは、野生の生態系に近い環境の中で、
作物を収穫できるよう、人間がお手伝いをしているものです。
作物も100%野生で生育させた方がいいの?
野生のものが丈夫でたくましいなら、作物も野生のように完全に放置して、100%自然の力に任せたほうが、
美味しいものが実るのかと思いますよね。
しかし、ワイルドクラフトのリンゴおじさんこと木村秋則さんは、
著書で次のようにいっています。
自然の力に任せるということは、人間は何もしなくてもいいということではなくて、自然の摂理に適ったお手伝いをするという意味です。手抜きをして楽をすることではない、と私は思っています。
出典:『リンゴの心』木村 秋則, 荒 了寛
また、何もかも自然の力に任せてしまうと、弱い作物は自然淘汰されてしまうそうです。
我が子のように愛情を注ぐ
本来農業とは、子育てと同じように手間暇がかかる仕事で、愛情が必要なのだと木村さんはいいます。
それを楽をして、農作物を大量生産するために開発されたのが肥料です。
昔は肥沃な土壌だったのに、今は痩せて作物が育たなくなってしまった場所があります。
膨大な量の肥料と農薬は、大地を汚し、狂った作物を育て、自然な生命の営みを破壊していきます。