運動して汗を流した後に、キンキンに冷えた飲み物を一気飲み!これがウマいんですよね。でもちょっと待って!その飲み方、逆に運動能力の低下を招く原因になっている可能性があります。汗を流した後の水分補給はもちろん大切なことです。でも冷たい飲みものを、ガブ飲みする行為は、下手をすると痙攣を起こすこともあるんです。
運動中は消化管の機能が抑制される
運動をすると、カラダが暑くなり、口も渇きます。するとカラダは、体温を下げようと皮膚の血量を増やし、盛んに汗腺から汗を分泌します。このとき、内臓の血流は相対的に減少していて、胃腸はほとんど機能しないほど血量が減っています。これは運動時の交感神経の興奮により、消化管の運動が抑制されていることと連動しています。
そんな状態で冷たいものを入れるとどうなるか
ただでさえ働きが低下している胃。そこに冷たい飲み物を入れると、胃は冷やされ、ますます消化吸収の働きが悪くなります。冷えた胃は、まるで氷袋を詰めたかのように、周りの内蔵まで冷やし、お腹全体が冷えてきます。胃腸の水の吸収も悪くなります。
このとき、カラダは冷えを感じて汗を止めるので、体感的には暑く感じます。
冷えた胃は温まることを求め、手足の血流は緊急避難的に、胃に集中します。そのぶん筋肉の血流が減り、運動能力は低下するのです。これが酷い時には痙攣を起こし、悪循環をもたらします。
マラソン大会に出場後、腹痛や冷えに悩まされる人もいる
ある女性は、マラソン大会の途中から胃の具合が悪く、吐き戻したといいます。手足は冷たく、脈も触れにくく、胃に水が溜まったポチャポチャという音が聞こえる状態。尿もほとんど出ていませんでした。原因は、走りながら水をたくさん飲んだことと判明したようです。この方は、漢方により回復しました。
温かいものを少しずつ補給する
飲み物でカラダを冷やさないために、運動したあとは、温かいものを少しずつ補給することが大切です。
一度にたくさん飲まないことで、胃の負担が軽くなり、吸収も良くなるでしょう。それにより、効果的な水分補給が見込めます。
胃もたれがある人は、水の吸収が悪いので、水分の取り方に注意が必要です。漢方を利用するのも一つの手でしょう。「五苓散」という漢方は水の吸収を良くし、効果的な水分補給が見込めるようです。
参考
漢方に学ぶ病気のからくり: 健康で明るい人生への知恵
仲原 靖夫 (著) / 出版社:芙蓉書房出版 (2014/9/10)
「寿命に限りがあることを理解する」という理念のもと、患者と向き合って漢方治療の新たな可能性を模索している医師が病気の正体、健康管理、漢方の効用をわかりやすく解説。
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