みなさんは、デスクワークやパソコン作業中に、頻繁に空腹感に襲われる、という経験をしたことはありませんか?
私は、パソコン作業中にいつもお腹が空いてしまい、何か食べずにはいられなくなるひとりです。たとえついさっき食べたばかりでも、すぐ空腹感が湧いてくるので、なぜだろうとずっと気になっていました。
そして、この異常な空腹感にはある理由と、意外な解決策があったのです。
空腹感が起こるメカニズム
まず、空腹感はなぜ起こるのでしょうか。
空腹感などの自律機能を調節しているのは、脳の視床下部です。
視床下部とは
間脳の一部。間脳の下部にあり第三脳室の底と側壁の一部をなし,背側の視床とは,視床下溝によって境されている。自律神経系の最も複雑で,精巧な統合中枢である。
コトバンク
視床下部の役割は、
- 摂食(満腹中枢、空腹中枢)
- 飲水行動
- 性行動
- 睡眠
- 情動行動(怒りや不安)
- 体温調節
- 心臓血管機能
- 代謝機能
- 内分泌(=ホルモン)の調節
など。視床下部は生命維持の中核とされています。
エネルギーが消費されて血糖値が低下してくると、体内の脂肪を分解してエネルギーを作り出します。この脂肪を分解する時にできる、遊離脂肪酸が血液中に増えてくると、この情報が視床下部の摂食中枢に送られ、空腹感となります。
なぜデスクワークが空腹感を招くのか
人間の脳は体重全体の約1/50を占め、約9兆個の神経細胞を持ちます。その85%が水で、血液の2割が脳に利用されています。脳は正しく働くのに必要な物質を、絶えず血液から糖を引き出すことで得ています。
脳は睡眠中にも活動する独特な器官の一つ。体の各部、肉体的、社会的、電磁的環境からくる情報を、一手に引き受けています。こうした情報をすべて処理し、全身に協力を呼びかけるために、脳は莫大なエネルギーを消費しているのです(血液中のブドウ糖の約50%を消費)。
デスクワークで頭を回転させる = 脳が使われすぎている(ストレスを受けている)状態。
脳を使いすぎれば、血中のブドウ糖濃度はますます低下し、エネルギー不足になります。脳を休みなく働かせ続けるためにはエネルギーを送らなければなりません。そのため頻繁に食べ続けることになります。
⇒ デスクワークでお腹が空く理由、それは脳を使いすぎることによってエネルギーが不足するから。
食事からとれるエネルギーは2割
しかし、食事によって脳に届くエネルギーはたったの2割にすぎません。残りの8割は筋肉を動かすことによって消費されるエネルギーです。なので、座りっぱなしで運動をしない(筋肉を使わない)でいると、残りは次第に体内に蓄積され、どんどん太りやすくなります。
たとえ体はエネルギーで満たされていようとも、脳がエネルギーを欲すれば空腹感を起こします。脳に必要なエネルギー2割のために、残り8割を体内に蓄積しながら、食べ続けるのです。
ただでさえ座りっぱなしのデスクワークは体によくありません。
立ってデスクワークをしてみた感想
デスクワークというのは現代の生活法になっていますが、体の生理機能はこのような異常な人体の使い方に慣れていないのです。人体が正常に働き続けるには、今も筋肉の働きが重要です。
体が正常に働いていれば、脂肪を溜めずに、いつどの程度食べればいいかが、わかってきます。体のどの部分も、そのエネルギーにあずかり、効率的で調子の取れた動きができるようになります。体は本来そのように設計されています。
では余計な脂肪を溜めることなく、空腹感に対処するにはどうすればよいのか?これが実は簡単な方法で解決できるのです。
空腹感への対処法
食欲は脳に送られる信号によって起きるので、その信号を変えれば食欲は抑制できることになります。では、どうすれば信号を変えられるのか。
その役目を見事に果たすのが「水」です。
食物が体内に入ると、胃では一斉に胃酸が分泌され食物の消化・吸収が始まります。そして、満腹感を覚えると胃の中の酸性度は一気に低下します。食物を消化する胃酸が不要になったため、酸性値が減少するのです。
水を飲むと、これと同じような現象が胃でおきます。水によって酸性が薄められ、それが脳に「満腹信号」として伝えられます。つまり、定期的に水を飲むことで、脳は間違った満腹感を覚えやすくなり、食欲も減退するわけです。
飢えと渇きの感覚は、同時的に発生して、脳の要求を訴えます。私たちは、この2つの信号を食欲と誤解し、水を飲むべきときに物を食べているのです。
こうした脳の疲労による空腹感を感じたとき、体は食事ではなく「水のエネルギー」を求めています。ですので、水を積極的に利用しましょう。
渇きの信号に気づかず、水を飲む代わりに食べてばかりいると、状況はますます深刻化します。このようなストレス状態にあると、体は水不足に陥ります。
水をエネルギー源にすれば、無駄なエネルギーの蓄積はおこり得ませんし、余分な水は尿となって排出されるだけです。水によってエネルギー代謝が活発になり、それがダイエットにつながることも明らかになっています。
水によるむくみを気にされる方がいますが、むくみは体内の水分不足や酸性食品の摂りすぎによって起こります。1日2Lの水をちびちび飲むことを心がければ、むしろ、むくみの解消につながります。
水と健康について、さらに興味のある方は、以下の書籍をお勧めします。
- 病気を治す飲水法―万病を予防し治す水の力を総解説!
/ F. バトマンゲリジ(著), F. Batmanghelidj(原著), 林 陽(翻訳)
- 決定版 正しい水の飲み方・選び方―100歳まで元気に美しく生きる鍵
/ 藤田 紘一郎(著)
まとめ
- デスクワークでお腹が空くのは、脳の使い過ぎでエネルギーが不足するから。
- 食事で脳に届くエネルギーはたったの2割。筋肉を使わないと残りのエネルギーは体内に蓄積され、太りやすくなる。
- 「飢え」と「渇き」の信号は同時的に発生し、脳の要求を訴えるため、渇きを食欲と誤解しやすい。
- 脳に送られる信号を変えれば食欲は抑制できる。
- そのために「水」を利用する。
- 水は1日2Lをちびちび飲むとよい。
飢えと渇きが混同されやすいというは、あまり知られていないのではないでしょうか。水には様々な魅力が備わっています。水を上手に利用して、健康な体を維持しましょう。