私は20代半ばに、甲状腺機能亢進症・別名「バセドウ病」を患ったことがある。以来、数年間にわたり投薬治療を続けていた。
自己免疫疾患の一つ。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、心拍数上昇、動悸、息切れ、手の震え、体重減少、神経過敏、疲労、イライラなどの症状を引き起こす。
この病気の原因はいまだによくわかっておらず、ストレスという説もあるものの、定かではないらしい。
「病は気から」とはよく言うけれど、どんな病気にも「その病気になりやすい思考パターン」というのがあるそうで。

甲状腺機能亢進症の場合は何なのだろうとずっと考えていた。
本来は病原体から守ってくれるはずの免疫系が、あろうことか主の私に刃を向ける。
私の肉体が滅びれば、免疫系自身も滅ぶというのに。
細胞全体を存続の危機にさらしてまで、なぜ免疫系は、このような動きをとるのだろう?
謀反?
エラー?
バグ?
まぁ、当時の私には知る由もなかったのだけど、最近読んだ本にこんなことが書かれてあって、すごく腑に落ちた。
免疫系が自分自身を攻撃する理由
これは甲状腺疾患に限らず、リウマチとか、1型糖尿病とかも含む免疫系疾患全体にいえることなんだけど、免疫系が自分自身を攻撃するのには実にシンプルな理由があって、それは
自分自身を「病原体」であると判断したから。
え?!わたすー???!!!
免疫系からのメッセージ
なぜ私は「病原体」と見なされてしまったのか?
- 自分の中に抵抗(マイナスの思い込み)がたくさんあると、免疫系に回せるエネルギー量が減り、免疫系が弱くなる。
- 免疫系はエネルギー不足が続くと、自分に必要なエネルギーを「私」から与えてもらうために、「私」を攻撃する以外に選択肢がなくなる。
- 免疫系にいつまでもエネルギーを与えないことで、「私」自身が病原体のようになってしまった。
- それも、どの病原体よりも最も優先度の高い病原体と認識され、免疫系から攻撃されることになる。
- 「私」自身が、私にとっての最も危険な病気になってしまった、ということを免疫系は伝えている。
- 問題は「私」自身だということ。
- 免疫系はいつでも私たちの味方だからこそ、原因は自分の中にあって、そこに注意を向けるように教えてくれている。
それと甲状腺疾患は、自分が成長できていないと感じる落胆や失望とリンクするという。
ショックだったけど、すごく腑に落ちたよね。
甲状腺疾患は免疫系からの愛のムチ
免疫系は、いつまでも気付かないバカ殿の目を何とか覚まさせて、自分の城の傾きに目を向けるよう警笛を鳴らしてくれていた。
かつてまだ若かった私は、己の体力を過信していたのだろう。激務続きで心身の慢性疲労を感じつつも、休もうという発想にはなぜか至らなかった。感覚が麻痺していたのかもしれない。我慢を重ねて苦行に耐える日々が、数ヵ月ほど続いたある日・・・。
突然、何を飲んでも食べても吐き出してしまうようになる。吐き気とめまいで立っていられず、身体がどんどん動かなくなり、しまいにはベッドから起き上がることもままならなくなった。寝たきりの日々がしばらく続くと、今度は高熱と喉の腫れ。そこではじめて甲状腺の異常が発覚した。
私は強制シャットダウン。
休息を余儀なくされた。
数珠を握って空拝むだけ・・・。
あれから10年。
今振り返ると、あの頃の自分はまさに「危険な病原体」だったと思う。過労で悲鳴をあげる自分の身体に休息を与える代わりに、もっと働けとムチを打っていたのだから。
もしあのとき免疫系が気付かせてくれなかったら、今頃この身体はきっと朽ち果てていただろう。
けっこうギリギリの状態だったのだ。
病という形で強制的に休息を与えてくれた免疫系の完璧な仕事ぶりのおかげで、自分は今こうして元気でいられるのだと思う。ありがとう免疫系。
しかもこの病気になってから全身の代謝が高まったおかげで、長年のガンコな便秘が解消したよ。ありがとう甲状腺。
ありがとう!私の私たち!
そしてありがとう!私の私たち!